相手に期待させて行動を促すアンカリングとは?
今回は、メンタリストとしての必要スキルである
暗示誘導のうち、アンカリングという技術を紹介します。
このアンカリングは、事前にアンカー(特定の刺激・条件)を下ろしておいて、
再びその状況を思い出させ、相手に行動を促す方法です。
アンカリングとは?
「パブロフの犬」という有名な実験
パブロフが行なった実験は、以下のようなものである。
1.イヌにメトロノームを聞かせる。
2.イヌにえさを与える。イヌはえさを食べながら唾液を出す。
3.これを繰り返す。(上記の二つのプロセスを条件付けという)
4.イヌはメトロノームの音を聞いただけで、唾液を出すようになる。
この実験で言うと、
・メトロノームなどの刺激=アンカー(いかり)
・アンカーの後、えさが与えられた事=期待されること
・唾液が出る=行動(意識・無意識問わず)
となります。
これを面白く利用した著書
メンタリストであるトルステンハーフェナーの著書
青い象のことだけは考えないで!の中で、
「トントントン・・・のあとに、火を思い浮かべてください」
というものがあり、反復してしっかりイメージすると、
「トントントン・・・」と書かれただけで、火をイメージしてしまうというもの。
この本を読んだのは2年ほど前にもかかわらず、今でもパッと出てきます。
つまり、「トントントン」がアンカーになっているということです。
このように、アンカー(先行刺激)を利用して、
相手に期待させる事で、自分が望む行動を相手に促す方法が
アンカリングということになります。
日常場面で使うと(使われると)どうなる?
例1 自分に使うアンカリング
「楽しい気分になりそうなときは、自分の頭をポンポンと叩く」これを反復して、
気乗りしないことに参加する前に自分の頭をポンポンすると、
楽しい気分を思い出すことができ、参加する嫌な気持ちを少しコントロールできる。
例2 対人で使うアンカリング
「彼氏にプレゼントを選んでもらい、袖をクッと引っ張って笑顔を見せる」
これで、何か自分の欲しいものが近くにあるときに袖をクッと引っ張ると
彼氏は「彼女の笑顔がまた見られるかも?」とプレゼントを買ってあげたくなる。
例3.価格のアンカリング(アンカーを利用した、期待感の煽り)
商品価格の相場がわからないとき、一番最初に提示した額が基準となって、
話し合いが始まります。このとき一番最初に提示した額がアンカーになります。
そして、「今だけ、この価格!」と最初の提示額より値下げしたものを見ると、
お得感が増してしまう。(=期待される事)
これによって、実際には必要ないものを買わされてしまったり、
本来よりも高い価格で買わされてしまったりということが起こる。(=行動)
自己暗示や対人関係で用いる場合の基本は、
「望ましい行動」と「思い出させる刺激」
をセットにして反復する事です。
価格のアンカリングを防ぐには、
「相場の把握により、基準額が正当かどうか判断する」「即決はしない」
ということが大事です。
途中で紹介した、トルステン・ハーフェナーの著書です。
タイトルも、考えないでと言われても、考えてしまいますね!
- 作者: トルステン・ハーフェナー,ミヒャエル・シュピッツバート,福原美穂子
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2013/01/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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